about



妖精の楽園について

200種の薔薇と草花たちが美しく調和した奥深いイングリッシュガーデン「妖精の楽園」

妖精の楽園は、イングリッシュガーデンを目指して長年築き上げてきた庭園です。ひとつひとつの小さな花にも特別な思いを込め、こだわりを持って植え育ててきました。バラにはもちろん、足元に咲く草花や緑も、ぜひお客様にもたっぷりとお楽しみいただきたいと考えています。園内には、屋外テーブル席があり、庭園の様子を一望しながらゆっくりとおくつろぎいただけます。また、小さなガーデンハウスもあり、そこでものんびりくつろいでいただけます。当園でしか味わえない贅沢な時間を、ぜひお楽しみください。

年に1回オープンガーデンを開催しております。

妖精の楽園では、一年に一度、バラや美しい植物が美しく咲き誇る時期に、特別なオープンガーデンを開催致します。素晴らしい庭園を堪能しながら、テーブルにてお楽しみ頂けるスイーツとドリンクでリラックスしてお過ごしいただけます。完全予約制となっておりますため、お電話にて事前にご予約いただくようお願い申し上げます。尚、オンラインの予約(メール、SNS等)は承っておりませんので、予めご了承くださいませ。最新情報につきましては、当園のニュースページまたはInstagramをご確認ください。皆様のご来園を、心からお待ちしております。

Interview



メインガーデナー渡邊えり子

花々が彩る、家族の想いの結晶
はじまりは30坪の庭から

庭をつくろうと思ったのは、今から30年以上前のことです。 その頃はいじめ問題が深刻化していて子ども達が通う中学校からもいじめで命を落とす痛ましい事件が起き、学校にマスコミが殺到したりと大変な状況になっていました。

そんな様子を目の当たりにした私は、せめて家くらいは安らぎと癒しを感じられる場所であり、落ち着く場所であればいいなと・・・子どもたちも主人も、帰りたくなる家にしたいなと思ったのが1番のきっかけです。庭の整備やペンキ塗り、看板の絵など家族にも手伝ってもらいながら30年以上作り続けてきました。やがてイングリッシュガーデンとして自然な美しさが広がる庭に成長していきました。今ではその庭が、人々を癒やす空間になったのです。

イングリッシュガーデンとの出会い

本や参考書を読みながら我流で庭造りをしていたある日、私は偶然にもテレビ番組で、イングリッシュガーデンの美しさを知ることになりました。その美しさに魅了され、私自身もハーブや草花を植えた庭を作りたいと願うようになりました。そんなある日、知人の奥様に招待され、彼女の作ったローズガーデンを見せてもらうことになりました。園内では見事なイングリッシュローズが咲き誇っていて、その香りや美しさに私は大きな感銘を受けました。イングリッシュローズの栽培には少々不安もありましたが、主人と一緒に育ててみようと決意しました。

イギリスでは、個人が所有する庭を公開する「オープンガーデン」という文化があります。私がテレビ番組で見たお庭も、個人所有の庭であったのですが広々とした空間でありながらも、どこか温かみのある空気感が漂っていました。こんな素敵なお庭を作りたいなと思い、一生懸命勉強をしました。私が目指すのは、「バラ園」ではなく、草花とバラが調和した自然で温かみのある庭です。バラは、よく合う草花と組み合わせることで、とても優しい雰囲気になるんですよ。私は、その雰囲気がすごく好きで繊細で可愛く咲く小花たちを探し、庭に植え続けています。

バラ園ではなく、イングリッシュガーデンに。

「バラ園」と呼ばれることが多いのですが、「妖精の楽園」は、イングリッシュガーデンを目指して長年築き上げてきた庭園です。ひとつひとつの小さな花にも特別な思いを込め、こだわりを持って植えてきました。ぜひお客様には足元の草花も楽しんでいただきたいと考えています。


お客様からは、「草花にも名札をつけてほしい」というリクエストをいただくこともあるのですが、すべての植物に札がかかっていると優雅な雰囲気が損なわれてしまうため、名札は極力つけないようにしております。植物園にはしたくないのです。オープンガーデン期間中も花苗を別の物に植え替えたりしていますので追いつかないという状況でもあります。私たちは、この庭園の雰囲気をお楽しみいただけること、そして「癒されました」という声をいただくことこそが、何よりの喜びとなっています。


約10年前、入口や園内のデザインを大幅に改修工事しました。その最終ゴールが庭の一番奥にあるガーデンハウスの建設でした。私の夢でもあったこのガーデンハウスは、工事のプロの主人や息子、職人が協力して建て上げてくれました。庭のシンボルでもある憧れのガーデンハウスが完成した瞬間、私は素晴らしい感動の中に浸ったことを覚えています。イギリスから仕入れたアンティークのステンドグラスや扉なども、このガーデンハウスの為に何年もかけて集めていました。


エイジング加工が施された漆喰の塗り壁、煉瓦屋根、梁、ライティング・・・細部にわたってこだわりを凝らしたガーデンハウスを6年ほど前に竣工させました。ここから見える景色も含め、イングリッシュガーデンでの時間をゆったり楽しんでいただきたいと思います。

ともに妖精の楽園を守る、
心強い仲間の存在

本場イギリスの庭園には庭の美しさを保つためにオーナーのもとで働くガーデナーがいます。それが私にとっては昌子さんです。欠かせないパートナーの一人です。

植物やバラにも強い愛情と情熱を持ち、日々手入れをしてくれています。お客様目線でガーデンテーブルやイスの調整をしたり、通路のぽこっとレンガ浮き出たところもお客様が転んだらいけないからとトンカチで叩いて直してくれたり・・・私達が気づかない所や様々なことに気を配ってくれる昌子さんが来てから妖精の楽園が劇的に良くなったんです。共に庭を守ってくれる仲間がいるということは、本当に有り難いですし心強いものです。

昌子さんとは、趣味の教室を通じて出会いました。最初は、オープンガーデンでの接客お手伝いをお願いしたのがきっかけでした。一度庭に来てどんな感じか見てくれない?と誘って庭に来てもらったところ「私、植物に触れる仕事もしたいです!」と言ってくれ、植物の植え替えや草引きなどの作業を精力的にこなしてくれました。不思議なご縁なのですが、昌子さんはある時から植物や花に触れる仕事をしてみたい!と強く思っていたそうで大三島にある大山祇神社でそういった仕事につけるようにお祈りしたそうです。その数日後、私からうちの庭を手伝ってくれない?と声をかけたときはには本当に喜んでくれました。その後も庭師としての道を突き進んでくださっています。まさに運命的なご縁と言っても過言ではありません。

今では、昌子さんは私たちにとって必要不可欠な存在となっており、頼もしい妖精の楽園専属ガーデナーです。

バラや草花が豊かに咲く誇る庭。美しさの源は、土づくりから。

30坪からはじまった小さな庭は年月をかけて広がり今では200坪くらいになるでしょうか。今の妖精の楽園がある場所は、もともとはみかん畑だったのでそのみかんの木の根っこなどを取り除く作業を家族総出でしたところからスタートしました。みかんの木は根を張ってとても強いので作業するのが大変だったのを覚えています。

オープンガーデンを始めた頃、お客様から「どうしてこんなにバラが咲くんですか?」とよく聞かれたのですが、その大きな理由の一つが土。みかん畑の土壌に主人が作った手づくりの堆肥を入れたのですが、それがよかったんでしょうね。

主人には土づくりの秘伝レシピがありました。山で集めてきたクヌギの落ち葉を寝かせておいて、それに石灰などいろんなものを加えて土を作るんです。そんな手間ひまかけた堆肥と、年に一度入れる寒肥がバラを美しく咲かせる秘訣です。この堆肥を入れることにより土がふかふかになり、根を張りやすくなるんです。

寒肥は、バラの休眠期にあたる2月頃までにバラが咲いている周りを掘ってそこに入れるのが基本となっていますが、うちでは土の上に布団のようにかける方法をとっています。この方法にたどり着いたのは、ある年、寒肥を行う時期が遅れてしまったことがきっかけでした。

バタバタしているうちに寒肥を入れるのが3月半ばになってしまい、すでにバラは休眠期を終えて根っこが動き出している。根っこは肥料に直接触れるとダメになってしまうので、さぁどうしようかと…。苦肉の策で、周りを掘って入れるのではなく、上にかけてみることにしました。そうしたら、今まで以上に綺麗にバラが咲いたんです。まさに偶然の産物でした。 「風と光と土!この3つが揃わんと育たんよ」というのが主人の口癖です。妖精の楽園の場所は風通しも日当たりも良い。そこに、秘伝の土が加わり、美しいイングリッシュガーデンが成り立っています。

小さな庭から始まった、
癒やしのガーデン

コロナ禍で2年ほどオープンガーデンをお休みしていましたが、2022年春に久しぶりにオープンしたところ、みなさんに大変喜んでいただけました。お客様のアンケートでも「オープンを待ちに待ってました」「心があらわれた」「現実を忘れてこの世界に浸ることができる」「誰にも教えたくないまさに秘密の花園」「バラがなくても珍しい草花があってとても綺麗」といった嬉しいお言葉をいただきました 庭造りに20年以上取り組んできて一番報われたなぁと思った年でした。 コロナ禍で、なかなか外に出られない日々が続く中でみなさんが癒しを求めていることを改めて感じましたし、妖精の楽園が少しでもみなさんの癒しの存在になれたのかなと思うと嬉しく思います。

妖精の楽園を運営していて気づくことがあります。

とあるお客様で入園した際、精神的に落ち込んでいるのかなと思われる表情をした方が来られたときのことです。園内を回っているうちに植物に癒やされたのでしょうか徐々に表情がほぐれてきて帰るころにはニコニコされていたりして改めて植物のもつチカラというものを感じました。

10年を超えても赤ちゃんを授かれないと悩んでいたお客様から「ここに来てから赤ちゃんを授かりました!」という報告を何件かいただいたりしたこともあります。 バラは女性ホルモンを活性化させる働きがあるのでそれの影響かもしれません。 私も、今日は体調が良くないから庭のお手入れ休もうかなと思っていても、お庭に出て作業をしていたら、いつの間にかその体調が治っていたりするんです。土を触ったり草抜きしていても気持ちがスッキリするんですよね。土や草から出る香りにも人間を癒やすパワーがあるのかなと思います。

これからも、みなさんの癒しの場所であり続けられるよう、家族、スタッフみんなで守っていきたいと思います。慌ただしい日常からちょっと離れ、妖精の楽園で非日常のひとときを楽しんでいただけたら嬉しいです。

わたしたちのこだわり
「庭の美しさは、努力と愛情で彩る。」

妖精の楽園の朝は、花がら摘みから始まります。ピーク時期にはバラの花がら摘みが朝5時頃からはじまることも。咲き終わったバラを残しておくとバラはもう終わっているのかな?と思われるのと、見栄え的にもあまり良くないからです。

最盛期にはものすごい量の花がらが出て、通路がバラの絨毯になるほど。それを一つひとつ長枝選定ハサミで摘み取り、掃き掃除し、美しい庭を維持しています。

特に、妖精の楽園のバラは摘花をしないので蕾がたくさんついています。咲き終わった花がらを取る際は他の蕾を落とさないようにと慎重な作業をすることになるのですが、何時間もずっと上を見上げる作業なので肩や腰に負担が大きいのですが「花がらがないし、花びらが通路に落ちていなくて綺麗ですね!」とお客様に言ってもらえるのが嬉しいですし、喜ばれるお庭になっています。

バラ最盛期のタイミングで雨が降る予報が出た時はスタッフ総出でバラにビニール掛けを行います。これをするのとしないのとではバラの痛みが全然違うのです。こちらも大変な作業になりますが一生懸命バラや草花を守っています。

消毒は年に3回。できる限り自然に

バラというのは、一般的に10日に1回消毒するようにとどの本にも書かれていますが、消毒したら蝶も鳥も寄り付かないお庭になってしまう。それは自然とは言えませんし、頻繁に消毒すると人にも害が及びますから、うちでは消毒は年に3回くらいにしています。新芽が出たときと、小さい蕾が揃ったときくらいでしょうか。

蝶や蜂、いろんな虫が住めるような、できる限り自然の状態で保つことを目指しています。

「バラは病気になりやすいから、消毒をたくさんしないといけないんでしょう??」とよく聞かれますが、バラは再生する植物。寒いときに葉っぱを全部落とし、翌春に若い葉っぱを出すので、消毒はそこまでしなくても大丈夫なんです。それこそ、消毒をしすぎることで、人間に健康被害が出ることのほうが心配です。実際それで身体を悪くされた人が周りに多いので・・・。

バラの意思を尊重したデザイン

毎年1〜2月になると、今年はどんなふうに咲かせようかなと、思いを巡らせながらバラの剪定と誘引を行います。私のやり方次第でデザインは変わるので、どう咲いてくれるかを考えながらデザインするのは本当に楽しい作業です。庭作業で一番好きな作業かもしれません。私は、できるだけ植物の意思に沿って剪定、誘引することを心がけています。

バラがどっちに行きたいかは、バラが教えてくれます。日々、花の状態をよく見ていると、「私はこっちに行きたい」という意思を感じるようになるので、その通りに誘引してあげるんです。

妖精の楽園メインガーデナー 渡邊えり子より

私も今年で齢72になりました。

妖精の楽園もいつまで続けることができるんだろうかと時折不安になったりしますが、
昌子さんや家族、助けてくれる人たちの力を借りながら
1年でも長く続けていきたいと思います。

これからも妖精の楽園をお願いします。